蘇聯大使との会見
その間九日に在東京「ソ」聯大使「マリク」から面会したい旨の申し出があったから、
自分は連絡会議で同日は面会出来ないから急用であったら次官に面会するように返事させたが、
十日でよろしいとのことであったので、同日にこれを引見した。
「ソ」聯大使は本日政府の命により宣戦通告を伝達するとのことであったから、
自分はこれを聴取した後、蘇聯と日本との間に中立条約がなお有効であることを指摘した上に、
日本から和平の斡旋を求められ、未だ確たる回答をしない間に宣戦する不都合を責め、
かつその理由とする日本が英米支三国共同宣言を拒否せりとの点につき、
日本政府に確かめる方法を採らなかったことの不当なるを述べ、
更に「ソ」聯の態度は後日歴史の批判を受くべきものだと云ったが、
彼は「ソ」聯の行動はなんら間違いないはずだとの趣旨を、抽象的の言葉で述べ立てるだけで更に要領を得なかった。
引続き自分は、日本政府の「ポツダム」宣言受諾に関する通告につき説明を加え、
「ソ」聯政府への伝達方を求めた。
「第三部 太平洋戦争勃発後」
「第六章 ポツダム宣言受諾と終戦直後」より
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